LESSON COLUMNレッスンコラム
2019.08.24
インナーマッスルとアウターマッスルの違い【インナーユニットについても言及】
ネットの記事を見ていると、「インナーマッスルを鍛えても意味がない」「アウターマッスルを鍛えていればインナーマッスルも鍛えられる」などの情報がありますよね。
こういった情報を見ると、『インナーマッスルは鍛えなくても良いや。』と解釈する人がいますが、それは少々危険な考え方です。
なぜなら、インナーマッスルは家でいうところの「土台」にあたるので、ボディメイクをする際にもまずは体の土台となるインナーマッスルを鍛える必要があるからです。
インナーマッスルやアウターマッスルについてそれぞれの働きや鍛え方を正しく理解している人はトレーナーでも少ないと言えます。
今回はそんなインナーマッスルとアウターマッスルについて話していきますが、特にインナーマッスルに焦点を当てながら実際にどんなエクササイズが効果的なのかをお話しします。
目次
インナーマッスルとアウターマッスルの違いとは
文字通り、インナーマッスルは体の内側についている筋肉、アウターマッスルは体の外側についている筋肉というのは何となく想像できると思います。
ここではさらに、それぞれの働きなどについても解説していくので、これからのトレーニングに役立ててください。
インナーマッスルの働きと特徴
インナーマッスルというのは、筋トレをして鍛えられる表層の筋肉(アウターマッスル)に対し、深層部にある(股関節や肩関節、背骨についている)小さい筋肉のことを指します。
このことからインナーマッスルは『深層筋』と呼ばれています。
インナーマッスルが見た目で働いていることを確認することは難しいですが、関節の安定や内臓の安定に働き、動作時にはアウターマッスルの補助の役割を果たします。
また、インナーマッスルは「姿勢保持筋」とも呼ばれ、姿勢を正しく維持するために必要不可欠な筋肉です。
そのため、インナーマッスルのトレーニングをすることで身体の動きを滑らかにし、正確なフォームを確立することができます。
アウターマッスルのトレーニングをする際にも正確なフォームが求められるので、インナーマッスルを鍛えることは間接的にアウターマッスルを鍛えることと同様の効果もあるというわけです。
インナーマッスルのトレーニングの特徴は、「低負荷・高回数」で行うことで、股関節や肩関節を捻るストレッチや負荷の軽いダンベルやチューブなどを利用するのが効果的です。
効果が目に見えるアウターマッスルとは違い、インナーマッスルの場合は効果が目に見えないため怠けてしまいがちです。
しかし、地味にも思えますがその効果やメリットが大きいのでしっかりと継続して鍛えることが重要であると言えます。
アウターマッスルの働きと特徴
アウターマッスルとは、一度は耳にしたことがある「大胸筋」や「広背筋」、「大腿四頭筋」といった、しっかりと目で確認することのできる表層の筋肉のことを指します。
このことからアウターマッスルは『表層筋』と呼ばれています。
アウターマッスルのほとんどが、意識を筋肉に向けることによって簡単に動かすことのできる「随意筋」で、意識的にトレーニングを行うことができるのが特徴です。
また、身体を動かす時に大きな力を発揮したり、関節を動かしたりする役割を持っています。
中でも「骨を守る」という重要な役割があるため、アウターマッスルをしっかりと鍛えることも大事であると言えます。
主にマシントレーニングやダンベルなどを使って行われる負荷の高いウエイトトレーニングが、アウターマッスルを鍛えるものとして挙げられます。
このマシントレーニングに関しては、当サイトのくびれサーキットでも使うことができます。
インナーマッスルを鍛える4つのメリット
気になっている方もいると思いますが、インナーマッスルを鍛えるメリットは以下のようなものが挙げられます。
- 基礎代謝が向上する
- 姿勢やスタイルが改善される
- 関節を安定させることができる
- アウターマッスルの基礎を作ることができる
やはり大きな特徴としては姿勢やスタイルが良くなることですね。
それぞれの特徴について詳しく解説してきます。
①基礎代謝が向上する
インナーマッスルを鍛えることで、身体の中心に近い筋肉に刺激を入れることができます。
つまり、内臓周辺の筋肉が鍛えられることで内臓が安定し、位置が下がってしまい低下した内臓機能を取り戻すことが可能となるのです。
その結果、内臓は本来の機能である消化や吸収が活性化され、結果的に消費エネルギーが増加し基礎代謝の向上が期待できます。
②姿勢やスタイルが改善される
第1章でも記載しましたが、インナーマッスルは「姿勢保持筋」とも呼ばれ、鍛えることで姿勢やスタイルを改善する役割を持ちます。
普段の生活で姿勢やバランスを意識するようなことがない人は、腰や背中が曲がっていたり身体が傾いていたりと、知らぬ間にどんどん歪んでしまっているかもしれません。
この身体の歪みを改善しないままトレーニングを行うと、スタイルの改善ができないだけでなく、偏った負荷がかかり怪我などに繋がってしまうのです。
インナーマッスルは関節を安定させて身体のバランスをコントロールする筋肉です。
そのため、トレーニングの中にインナーマッスルトレーニングを組み込むことで、歪みの少ないスタイルの良い身体を目指すことができます。
③関節を安定させることができる
先ほども記述しましたが、身体の軸を安定させないままトレーニングを行うと、怪我や故障のリスクが飛躍的に上昇してしまいます。
関節部分を保護し安定させる役割を持つインナーマッスルは、バランスよく鍛えることで関節を正常な位置に整えます。
怪我のリスクを下げることはもちろん、筋肉同士の伝達スピードも上昇するため、鍛えたい部位を効果的に鍛えることができるのです。
アウターマッスルばかりを鍛えている人ほど、インナーマッスルを鍛える必要があるということですね。
④アウターマッスルの基礎を作ることができる
第1章でも記述しましたが、インナーマッスルは大胸筋や腹筋(腹直筋など)、広背筋といった大きな筋肉であるアウターマッスルの動きをサポートする役割を持ちます。
また、インナーマッスルを強化し関節の円滑な運動が行えるようになると、骨が正しい位置に戻り関節がスムーズに動くので、アウターマッスルのポテンシャルを十分に発揮できます。
このように、インナーマッスルを鍛えることでアウターマッスルのポテンシャルも最大限発揮されるため、「インナーマッスル→アウターマッスル」という順番でトレーニングを行うとより効果が出ると言えますね。
プロのアスリートがインナーマッスルを鍛えることを重視しているのにはこのような理由があったのです。
インナーマッスルとアウターマッスル、どちらを鍛えるべきか?
結論から言うと、「バランス」が大事です。
男性の多くはアウターマッスルを鍛えることを重視し、女性の多くはインナーマッスルを鍛えることを重視します。
しかし、アウターマッスルばかり鍛えてもインナーマッスルが弱いため効果が薄いですし、インナーマッスルばかり鍛えても筋肉量が増えず代謝が少ししか向上しません。
特にトレーニングの目的が「シェイプアップ」や「ボディメイク」の場合は、アウターマッスルとインナーマッスルを同時に鍛えるべきですが、順序としてはインナーマッスルから刺激していくことが重要なポイントであると言えるでしょう。
実際にくびれ美人でも身体の歪みを改善し、インナーマッスルを刺激してからアウターマッスルを鍛えるという順序でトレーニングを行なっています。
特にトレーニングを始めたばかりの方は、身体の使い方を良好にするためにインナーマッスルから鍛えることをオススメします。
インナーマッスルの中のインナーユニットとは?
インナーマッスルは身体の深層部にある筋肉の総称のことを指しますが、インナーユニットは特に体幹部の4つのインナーマッスルのことを指します。
インナーユニットとして挙げられるのは、
- 腹横筋(前)
- 多裂筋(後)
- 横隔膜(上)
- 骨盤底筋群(下)
の、お腹を前後上下から囲い込んでいる4つの筋肉です。
これらの筋肉はそれぞれ連動しており、呼吸と姿勢の安定化はこのインナーユニットから生まれます。
また、お腹の臓器は骨などでは守られておらず筋肉で守られているので、インナーユニットは内臓を助ける役割も担っているため、非常に重要であることが伺えますね。
インナーユニットのそれぞれの機能を簡単に説明していくので、確認してみてください。
腹横筋の主な機能
腹横筋は、腹部にコルセットのように位置する筋肉です。
姿勢の安定と腹部内圧の維持を担っており、呼吸時にも動きます。
多裂筋の主な機能
多裂筋は、脊椎の背骨一つ一つを支えて安定させている筋肉です。
大きな役割としては、「姿勢の安定」が挙げられます。
横隔膜の主な機能
横隔膜は、胸とお腹を分ける呼気専門の呼吸筋です。
息を吸うと横隔膜が下がり肺を膨らみやすくし、吐く際にはせり上がり吐き出す力を後押ししてくれます。
ちなみに、しゃっくりはこの横隔膜が痙攣しておきます。
骨盤底筋群の主な機能
骨盤底筋群は、表在筋群、会陰膜、骨盤隔膜からなる筋群です。
骨盤の底から腹腔を支え、骨盤を安定させる役割を担っています。
また、この骨盤底筋群は生殖器や排せつにも影響を持っています。
トレーニングメニュー例
ここまでインナーマッスル、インナーユニット、アウターマッスルについての話をしていきましたが、この章では実際にそれぞれを鍛えるためのトレーニングメニューを紹介します。
改めて言うと、「インナーユニット→インナーマッスル→アウターマッスル」の順番でトレーニングを行うと最も怪我のリスクが低く、最も効果が得られるので意識してみてください。
では、それぞれのトレーニングメニューについて解説していきます。
インナーユニットトレーニング
まずはインナーユニットのトレーニングメニューからです。
また、それぞれ2つのトレーニングを解説していきます。
インナーユニットトレーニング①「ドローイン」
インナーマッスルトレーニングをする際によく耳にするドローインですが、何点か意識すべきポイントがあるので解説していきます。
①仰向けになり膝関節を90°に保ち、息を吐く。
②その状態から鼻で息を吸いながらお腹を膨らませる。
③次は口で息を吐きながらお腹を凹ませる。また、息を吐ききったらお尻の穴を頭に近づける。→これがドローイン
④②と③を呼吸を意識しながら10回繰り返す。
インナーユニットトレーニング②「赤ちゃん体操」
次はくびれ美人でも実際に行なっている「赤ちゃん体操」です。
このトレーニングを行うことで、インナーユニットに刺激が入るだけでなく、中枢神経にもアプローチすることができ、全身の柔軟性や筋出力にも良い効果を与えます。
ぜひ実践してみてください。
①仰向けになり股関節と膝関節を90°に保ち、両手を前へならえする。
②その状態から先ほど同様に息を吸いながらお腹を膨らませる。
③次はお腹を膨らませた状態を保ち、片手を頭上に挙げる。
④お腹を膨らませた状態を保ち、挙げた手を戻す。
⑤③と④をお腹を膨らませた状態で10回繰り返す。
インナーマッスルトレーニング
次はインナーマッスルのトレーニングです。
先にインナーユニットを刺激することで、インナーマッスルに刺激が入りやすくなりますよ。
インナーマッスルトレーニング①(肩)「エクスターナルローテーション」
肩関節のインナーマッスルである「棘下筋」を鍛えるトレーニングです。
肩を痛めたりする原因の1つに、肩関節のインナーマッスルの弱さが挙げられるため、肩を壊さないためにも鍛える必要がある部位というわけですね。
①横向きになり上側の手でダンベルを持ち、上腕を身体に沿って脇を締めダンベルを身体の内側に保つ。
②ダンベルを持ち脇を締めたままダンベルを上に持ち上げる。
③①と②を10回繰り返す。
インナーマッスルトレーニング②(お尻)「クラムシェル」
次はお尻の筋肉、特に深層外旋六筋と呼ばれるお尻の奥の方にある筋肉を鍛えるトレーニングです。
このトレーニングはテレビを見ながらでもできるので、ぜひ自宅で実践してみてください。
①チューブを巻き、股関節を80°・膝関節を90°に保ち横向きになる。
②足の内側をつけたまま骨盤を倒さないように注意して膝を開いていく。
③膝を閉じる際は、完全に開始姿勢に戻ると力が抜けてしまうため、膝の内側が接触する手前で止める。
④②と③を繰り返す。
アウターマッスルトレーニング
最後はアウターマッスルを鍛えるトレーニングです。
ここでは先ほどインナーマッスルで鍛えた「肩」と「お尻」を鍛えるメニューを紹介します。
アウターマッスルトレーニング①(肩)「ショルダープレス」
ショルダープレスは「三角筋」と呼ばれる、肩の角ばった外側の筋肉を鍛えるトレーニングです。
注意点としては、肘が体幹の後ろ側にこないように行うことです。
背中をそらせすぎて肘が背中側になってしまうと、肩関節に強い開きの負荷がかかってしまい怪我に繋がりやすくなるので、十分に注意して行なってください。
①ベンチに座りバーベルを肩の上に乗せ、胸を張り背中をしっかりと伸ばす。
②その状態からバーベルを真っ直ぐ上に持ち上げる。
③バーベルを降ろす際は、完全に開始姿勢の戻すと首や肩を痛める原因になるため、耳たぶの位置で止める。
④②と③を10回繰り返す。
アウターマッスルトレーニング②(お尻)「スクワット」
スクワットは言わずと知れた「大臀筋」と呼ばれるお尻の大部分を占める筋肉を鍛えるトレーニングです。
この大臀筋は人間の身体の中で最も体積の大きい筋肉であるため、この筋肉が弱いと長時間歩行ができなかったり、股関節に負荷がかかり腰を代償する可能性があります。
正しい姿勢でスクワットを行い、しっかりとお尻を鍛えていきましょう。
①足を肩幅ほどに開き、背中を伸ばしたままバーベルを持つ。
②後ろにある遠いイスに座るイメージで股関節から曲げ、その後重心を下げていく。
③①と②を10回繰り返す。
ちなみにスクワットのやり方に関しては、【スクワットで痩せる】ダイエットに効果抜群なスクワットの方法で詳しく書いてあります。
まとめ
インナーマッスルとアウターマッスルの違いから、初めて耳にするインナーユニットのトレーニング方法まで目から鱗な記事だったのではないでしょうか?
第3章でも記述しましたが、インナーマッスルやアウターマッスルを鍛える際にどちらかに偏り過ぎるのは良くありません。
程よいバランスで目的に合わせたメニューを組むことが大切です。
また、ほとんどのトレーニーが正しいトレーニングメニューを組んでいないのが事実です。
本記事でも解説したように、深層にあるインナーマッスル、特に体幹部のインナーユニットから刺激を入れる順序が最も効果があるトレーニングと言われています。
間違えてもインナーマッスルが弱い状態でアウターマッスルトレーニングをガンガン行うような危険なマネはしないでくださいね。
くびれサーキットトレーナー 上原