LESSON COLUMNレッスンコラム
2021.02.07
【注意】筋トレのオーバーワークによって起こる3つの悲劇と予防策
「筋トレを頑張ってやっているのに筋肉がつかない」
「体重は落ちたけど食欲が一気に減った」
「筋トレしているはずなのに睡眠の質が以前よりも低下した」
このような現象は、もしかすると筋トレのやりすぎによるオーバートレーニング症候群かもしれません。
今回は、筋トレをしているのになぜか筋肉がつかない現象が起こる『オーバーワーク』について解説していきます。
現在進行形で当てはまる人はもちろん、これからの筋トレ生活でならないためにも、本記事に書いてあることに注意しながら筋トレを行ってください。
目次
オーバートレーニング症候群とは?
オーバートレーニング症候群とは、オーバートレーニングを蓄積し、適切な回復期間を設けることなく、高頻度・高負荷でトレーニングを実施し続けることによって起こる慢性疲労のことです。
「もっと筋肉をつけたい」「もっと綺麗になりたい」といった、心理的欲求に起因することが多いため、早期発見のために心理的プロフィールテストが用いられることがあります。
ちなみに、オーバートレーニングと筋肉痛を一緒に考えられている方がいますが、この2つは全くの別物です。
オーバーワークの原因として挙げられるもの
実は、筋トレをしていてオーバーワークだと感じても、その原因が筋トレではないことが多々あります。
主には、次のようなものが挙げられます。
・食事や睡眠時間などの生活習慣の乱れ
・人間関係や仕事からくるストレス
このように、食事から摂る栄養や睡眠による回復が十分でなかったり、ストレスが溜まったりしている状態だと、オーバーワークと同じような疲労が溜まります。
まずは、自分自身のライフスタイルを振り返ることが大切ですね。
筋肉痛との違い
オーバーワークを簡単に説明すると、「トレーニングのやり過ぎによる筋肉と疲労の限界」です。
ご存知の通り、筋肉を成長させるためには筋肉を限界まで追い込まないといけません。
限界に追い込むことで筋肉組織を破壊し、再生することで筋肉が大きく強くなるからです。
この辺りの仕組みについては、筋肉痛がある時に筋トレをしても良いのか問題をプロが徹底解説!を参考にしてください。
しかし、これはあくまでも限度があり、やりすぎると逆効果になりかねません。
なので、「追い込みすぎはいけない」と言えるわけです。
詳しくは第3章で解説しますが、オーバーワークは激しい筋肉痛ではありません。
「身体全体のだるさや倦怠感が抜けず、体全体が重くなるような日々が続く状態」が続きます。
この状態で筋トレを行うことは生命の維持に危険を伴うため、筋肉痛と一緒と思って軽く捉えないようにしましょう。
筋トレのオーバーワークによって起こる3つの悲劇
そんな筋トレのオーバーワークによって起こることには、次のようなものが挙げられます。
②風邪などの感染症にかかりやすくなる
③メンタルに悪影響が出る
それぞれ解説していきます。
①筋トレの効果が出づらくなる
オーバーワークになると、力が発揮できなくなるのはもちろんのこと、メンタル面にも悪影響が出るため、筋トレの効果が出づらくなります。
先述したように、筋肉は破壊と再生を繰り返して大きくなります。
しかし、オーバーワークになると筋肉に疲労が蓄積するため、休息しても疲労が回復しなくなってしまいます。
もしその状態でトレーニングを行っても、筋肉の疲労はさらに蓄積してしまい、効果を上げることができないのは容易に想像できますよね。
②風邪などの感染症にかかりやすくなる
オーバーワークによる悪影響は、筋肉だけではありません。
長続きする疲労や筋肉痛によって免疫力が低下し、風邪を始めとする感染症にかかりやすくなってしまうこともあります。
さらに倦怠感によってトレーニングの効果が低下するだけでなく、食欲が低下したり、眠れなくなったりといった症状が起きることもあります。
③メンタルに悪影響が出る
免疫力の低下に伴い、物事に対する意欲が低下したり、イライラする状態が続いたりすることもあります。
最悪の場合、身体の不調が原因となって「抑うつ状態」になってしまうこともあります。
繰り返しですが、オーバートレーニング症候群は決して軽視できない状態に発展することもあるため、単なるトレーニングのやり過ぎと軽視することなく、十分に注意することが必要不可欠です。
筋トレ時のオーバーワークのサイン
オーバートレーニングになる前には、必ず体や心からサインが出ています。
それらを見逃さず、早い段階のうちに対処することが最も重要です。
具体的には、次のようなサインが出ている時は注意が必要です。
・体重や体脂肪率が急激に減っている
・だるさや倦怠感がある
・寝つきが悪くなっている
・筋肉痛が長引いている
・扱える重さが変わっていない
オーバートレーニングの症状は、人によって異なります。
上記のチェック項目のすべてが当てはまるとは限りませんが、もし該当するものがあれば、オーバートレーニングの可能性があります。
一度立ち止まって、トレーニングの強度や頻度、そして休息期間とのバランスを見直しましょう。
筋トレのオーバーワークになった時の対処法
それでもオーバーワークになった時は、次のような対処法を取りましょう。
②ボリュームを減らす
③数日〜1週間ほどOFFを挟む
順番に解説していきます。
①頻度を減らす
先述したように、オーバーワークの目安は「重量」や「回数」の伸びの停滞にあります。
頻度の高いトレーニングでしっかり重量や回数は伸びてますか?
もしできていないなら、頻度や回数を減らしたほうが良いでしょう。
やればやるだけ筋肉が成長するわけではありません。
この事実を、今一度頭に入れておきましょう。
②ボリュームを減らす
筋トレのベストなセット数やレップ数は?【目的によって異なります】でも書きましたが、筋トレの回数は目的によって異なります。
筋持久力を目的にしている場合でも、多くて20回ほどが限界です。
それ以上やるのは、筋肉にプラスには働きません。
セット数に関しても、ただ増やせば良いわけではないので、目的に合わせて適切な数値で行いましょう。
③数日〜1週間ほどOFFを挟む
オーバーワークはとにかく筋肉の回復が追いついてない状態です。
なので、シンプルにOFFを挟んで、筋肉を休めるのも1つのやり方です。(筋トレの世界では「ディロード」と言われます)
スペインで行われた研究⑴や東京大学⑵によって、1週間のOFFでは筋肉は落ちないことが分かっているので、安心してください。
オーバーワーク時は、視野が狭くなっていることが多いので、一度OFFを挟むのは効果的な戦略と言えそうです。
筋トレのオーバーワークを防ぐ3つの方法
オーバーワークになって対処するのは大切なことですが、一番良いのは「オーバーワークを防ぐこと」です。
そんなオーバーワークを防ぐ方法が、次の3つです。
②部位ごとに分けて鍛える
③トレーニング時間を適切にする
それぞれの方法について解説していきます。
①トレーニングメニューを豊富にする
毎回同じトレーニングをしていると、シンプルに飽きます。
メニューを豊富にすることで様々な刺激が得られるため、同じ箇所を限界まで追い込む可能性は低くなります。
例えば、普段はあまりしないランニングを取り入れてみたり、腕立て伏せをストレッチポールに変えてみたりと、いろいろな工夫をしながらバランスの良いトレーニングを行いましょう。
②部位ごとに分けて鍛える
例えば、大胸筋を鍛える筋トレを行なった場合は、最低でも2日間は大胸筋を休めましょう。
理由は、筋肉の疲労をとるためと超回復による筋肉の肥大化です。
肩や背中のトレーニングでも同じことが言えます。
何日も続けて同じ筋肉を鍛えるのではなく、異なる部位をバランスよく鍛えましょう。
③トレーニング時間を適切にする
ジムなどでトレーニングを行うと、ついつい長時間になってしまうことがありますよね。
しかし、長時間のトレーニングは体に悪影響を及ぼしているかもしれません。
長時間のトレーニングを行うと、体内のテストステロンというホルモンが減少し、筋肉が成長しなくなります。
より効率的なトレーニングにするためには、1回30〜50分を目安にすると良いでしょう。
まとめ:オーバーワークを心配する前に一旦限界まで追い込もう
最後に、本記事のまとめです。
・オーバーワークと筋肉痛は別物
・筋肉を成長させるためには、休息と栄養補給が必要不可欠
・オーバーワークになった時は、とりあえず休むのがベスト
・トレーニングは長すぎても意味がない。目安は「30〜50分」
ここまでオーバーワークの危険性について解説しましたが、実はそこまでオーバーワークを意識しすぎる必要はありません。
なぜなら、オーバーワークになるほど追い込んでいない人がほとんどだからです。
もちろん、筋トレのオーバーワークには気をつけるべきです。
しかし、そこまで追い込んだことがない初心者の方が「オーバーワークになるのが怖いから…」と言って、限界まで追い込まないのも良いことではありません。
まずは、限界まで追い込むことが大切です。
その上でオーバーワークを防ぐ方法を実践すれば、オーバーワークになることは滅多にありません。
ぜひ本記事を参考に、効果の出る筋トレを行ってください。
では、また次回の記事でお会いしましょう!
くびれサーキットトレーナー 上原道矢
⑴https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11474330/
⑵https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21771261/