LESSON COLUMNレッスンコラム
2020.10.28
ただゴロゴロ休むのは意味無し?疲労を効率よく回復させるアクティブレスト
「疲れた日は一日中ゴロゴロしていたい・・・」
幼少期はそれで疲れが取れていたものですが、年齢を重ねるにつれて逆に疲労が溜まってしまうという方も少なくないようです。
休んでいるはずなのに、何故あなたは疲労を取ることができないのでしょうか?
それは普段あなたが行っている疲労回復方法が誤っていることが原因かもしれません。
身体を動かさずじっとしていれば疲れは取れそうに思えますが、それだけでは不十分なのです。
むしろストレッチやウォーキングのように積極的に身体を動かしたり、少し変わった入浴方法を取り入れることで身体全体の調子を整える効果が期待できるのです。
そこで今回は、ダイエットやボディメイクをしたいけれど日々の疲れが気になる方の為に、疲労回復効果を格段に高めるアクティブレスト(積極的休養)の方法や作用を徹底解説していきます。
目次
第1章【あなたの疲れはどこから?】
一言で疲れと言っても、疲労の感じ方は人それぞれ。
▪朝起きるのが辛い
▪イライラしやすくなる
▪首や肩のコリを感じる
▪頭痛が起こる
▪口内炎やヘルペスが出来やすくなる
このように身体はあなたの疲労を全身で伝えるべく様々なサインとして現します。
そこで疲労の要因をチェックしていきましょう。
睡眠不足かも
身体が疲れたと感じた時、少しでも目をつぶっていたいと思ったことはありませんか?
質の良い睡眠が十分に確保出来ているかは疲労の蓄積に大きく影響します。
過去の投稿である睡眠負債とは?にて詳しく解説していますが、慢性的な睡眠不足(眠りの浅さ)は脳の活動を低下させ、細胞の新陳代謝に必要な成長ホルモンの分泌を抑制してしまいます。
そしてその結果、睡眠不足が疲労を招く大きな要因となってしまうのです。
オーバートレーニングかも
肥満を招く運動不足も問題ですが、逆に動き過ぎも問題となる場合があります。
毎日一生懸命に筋トレを頑張るけれど中々効果が出ない方は要注意で、もしかするとオーバートレーニング症候群の手前かもしれません。
オーバートレーニング症候群とは簡単に言うと、慢性的疲労が続く状態のことを指します。
過剰なトレーニングを長期間続けることで疲労の蓄積が回復を上回ってしまえば、いつも通りのパフォーマンスが出来なくなったり、日常生活の些細なことでも全身倦怠感などの疲労症状を呈してしまうのです。
またそれだけではなく手足のしびれや食欲不振、そして精神不安や睡眠障害など、精神的・身体的に大きな影響を与えてしまいます。
第2章【疲労回復には種類がある】
ここまで疲労の種類や原因について解説致しました。
それでは次に、蓄積されたあなたの疲労を回復させる方法についてご紹介しましょう。
しかしその前に、パッシブレスト(消極的休養)とアクティブレスト(積極的休養)について少し整理しておく必要があります。
パッシブレスト
パッシブ(passive)とは、即ち消極的・受け身のことを言います。
これを踏まえるとパッシブレストとは消極的休養のことを示し、即ち睡眠を優先したり、自宅でゆっくり入浴するなどは全てパッシブレストに分類することができます。
アクティブレスト
一方でアクティブレストとは積極的休養のことを指します。
つまり、積極的に身体を動かすことによって疲労回復を目指す方法のことなのです。
休む=動かない
このような印象が強い方も多いと思いますが、アクティブレストには様々な効果が期待でき、むしろダイエットやボディメイクの為に筋トレを取り入れているのであれば、是非取り入れてもらいたいのがアクティブレストなのです。
それではアクティブレストのメリットはどのようなものがあるのでしょうか?
▪血行が良くなる
▪筋肉の柔軟性が維持できる
▪疲労を溜め込みにくく、回復力が高まる
デメリットとしては、強いて言えば少々面倒くさいという点かもしれせんね。
しかし、身体づくりのためには有り余る効果が期待できることがご理解いただけたはずです。
第3章【あなたが取り入れるべきアクティブレスト】
それでは疲労回復を早めるアクティブレストを3つご紹介致しましょう。
ストレッチ
今やストレッチ専門店も出来るほど、マッサージだけでなくストレッチの疲労回復効果を侮ることは出来ません。
過去の投稿である【必見】ダイエットの為にストレッチが欠かせない本当の理由【ストレッチも紹介します】でも少し触れていますが、凝り固まった筋肉をストレッチによってほぐすことで疲労回復から始まり、最終的にはダイエットやボディメイクに繋げることが出来るのです。
効果的なストレッチメニューについては上記のリンクを是非参考にしていただければと思いますが、まずは理論的に、ストレッチによって起こる身体への変化はまず毛細血管への血液量増加であることは押さえておいて欲しい所です。
筋疲労回復のために必要な酸素や栄養素を運ぶのは血液であり、疲労の原因となる老廃物や疲労物質を運び出すのもまた血液の役割なのです。
そして筋肉の柔軟性が高まることで不良姿勢の改善にも繋がり、結果として疲れにくい身体づくりに貢献することが出来るという訳ですね。
ウォーキングや軽いジョギング
ストレッチと同様に、軽い負荷で行うエクササイズは全身の血液循環の改善を図ることが出来ます。
つまりここで言うエクササイズとダイエットやボディメイクの為に行うトレーニングには一線を引いておく必要があるのです。
疲労回復が目的のはずなのに、気が付けばいつもと同じ負荷ということは避けなければなりません。
以前の記事にて取り上げた内容運動強度は心拍数を意識しての引用となりますが、疲労回復に適した運動強度は心拍数を参考に調整すると良いでしょう。
※心拍数の測定方法に関してはリンク記事をご参照ください。
愛犬や友人、家族と会話をしながら行うウォーキング、そして好きな音楽を聴きながら行うランニング(LSD:ロングスローディスタンス)などの有酸素運動は心身の疲労を回復させる効果的な方法なのです。
温冷交代浴
前述したパッシブレストの1つとして入浴をご紹介しましたが、ここで紹介するのは温冷交代浴です。
温かい湯舟に入浴するだけでも疲労回復効果は望めますが、更に効果が高い温冷交代浴とはどのようなものなのでしょうか?
簡単に申し上げますと、冷たい水と熱いお湯を交互に浴びる入浴法のことを言います。
身体を水温差に晒すことでケガの予防や筋疲労の回復をサポートできるとのことで、ヨーロッパのアスリートを中心に広まったとされています。
そこで温冷交代浴を行うと、身体には一体どのような変化が起こるのでしょうか解き明かしていきましょう。
自らの体温以上のお湯(40℃前後)に浸かることでまず、温熱効果として毛細血管の拡張が見られます。勿論これだけでも効果があるのですが、ポイントは冷水です。
次に冷水が身体に触れることで自律神経が刺激され、筋肉と血管が収縮し、そして血管の拡張と収縮が繰り返されることで血管のポンプ作用を向上させることが出来ます。
これにより滞った手足末端の血行が改善し、老廃物や疲労物質の除去を促すことが出来るのです。
自宅で行う場合は水風呂ではなくシャワーを使用します。
①まず初めにコップ1杯程度の水分を補給する
②40~42℃の湯舟に2~3分浸かる
③冷たいシャワーを30秒間手足にかける(胴体部分はかけなくてよい)
④5~10回繰り返し、最後はシャワーをかけて終わるようにする
⑤もう一度水分補給をする
また文献によると、生理学的には10℃前後の温度差によって自律神経への刺激が完了するとされています。
つまり慣れないうちはシャワーの温度を調整することが継続的に行う秘訣なのです。
しかしこの温冷交代浴は高血圧や心臓血管系に持病を抱える方にとって大きなリスクとなるため、必ず専門医へ相談の上判断するようにしましょう。
番外編【疲れたなと感じた時は糖質とビタミンを補給しよう】
ここまで、身体の疲労を回復させるための様々な方法について取り上げてきました。
適度な運動や入浴など、血流に関するものが多くを占めていますが、実はその他にも栄養について無視することはできません。
疲れを感じ、身体を動かすことが億劫なほど、身体はエネルギー不足に陥っているのです。
このようなエネルギー不足からくる疲労感を改善するためにも、食事によって炭水化物(糖質)とビタミンを多く摂取したほうが良いのです。
しかし糖質を摂取することはダイエットを目指す方にとって少々気が引けるのも無理はありません。
ダイエットを始める前に知っておきたい5大栄養素の話で詳しく解説しておりますが、糖質を摂取することで起こる身体の生理的反応はインスリンの分泌です。
膵臓から分泌されるホルモンの一種で、血中にある血糖を細胞に取り込み、エネルギー源や体脂肪として貯蔵する働きがある。その結果血糖値を下げることが出来る。
このように、糖質の摂取によって上昇した血糖値を正常値に戻すために分泌されたインスリンの作用により、血糖は細胞内にグリコーゲンや体脂肪として取り込まれるのです。
このように確かに糖質は体脂肪を増やす要因の1つとなる訳ですが、減らせば良いということでは決してありません。
過去の投稿記事20代以降が実践すべき栄養バランスでも解説しておりますが、糖質は身体を動かすために必要不可欠なエネルギー源です。
つまり糖質を極端に少なくしてしまうと身体にとって必要なエネルギー源の不足に繋がるため、疲れたときは量に注意しながら糖質を摂取すべきなのです。
そしてビタミンB群の摂取も重要となります。
三大栄養素である糖質・脂質・タンパク質と異なり、ビタミンはエネルギー源として燃焼したり、身体を構成する成分ではない。しかし身体の機能を正常に保つために必要な細胞をサポートする役割がある。全13種類から構成される。
ビタミンB1は筋肉内で糖質の燃焼効果を高める役割があり、それに対してビタミンB2は脂質燃焼の効率を高める役割がある。また、ビタミンB6に至っては身体を作るために必要なタンパク質の吸収効率を高める優れた役割があることがわかっています。
この事から、少量の糖質と共にビタミンB群を摂取することで疲労回復効果を大きく期待できるという訳です。
∇ビタミンB群を含む食材【参考記事】
第4章【日々の疲れにアクティブレストを】
いかがでしたか?
このコラム記事に目を通すまで、疲労回復方法や効果まで意識を持っていた方は少なかったのではないでしょうか。
適切な休息が必要なのはアスリートだけではなく、私たち一般人にとっても非常に大切な休息。
仕事やプライベートで蓄積された疲労、そしてダイエットやボディメイクの為に行った運動後の身体のケアに、是非アクティブレストを取り入れてみてください。
忙しい現代社会では、いかに健康を管理しながら動き続けられるかが生産性を高める大きなカギとなります。
知らず知らずのうちに疲労が蓄積してしまうことは、確実にあなたの身体を蝕んでしまうのです。
それでは最後に、あなたが取り入れるべきアクティブレストについておさらいしておきましょう。
①ストレッチ
②ウォーキングや軽いジョギング
③温冷交代浴
アクティブレストを生活の一部とし、日々のトレーニングライフに役立ててみてくださいね。
くびれサーキットトレーナー
山戸 勝道