LESSON COLUMNレッスンコラム
2020.12.09
筋トレ前後に糖質を摂るべきたった1つの理由【結論:筋肉が成長するからです】
「筋トレ後にタンパク質を摂取すべき!」ということは、ダイエッターやトレーニーなら一度は耳にしたことがあると思います。
しかし、実はタンパク質以外にも必要な栄養素があります。
それが『糖質』で、多くの方が敬遠する糖質ですが、実は筋トレとの相性は抜群です。
今回は、そんな筋トレと糖質の関係性を現役パーソナルトレーナーである筆者が、科学的根拠も踏まえながら解説していきます。
正しい知識をつけて、理想の体に近づけていきましょう。
目次
そもそも糖質とは?
まずは、「糖質」について理解しておきましょう。
結論から言うと、糖質とは、炭水化物から食物繊維を除いたもので、私たちが日々の活動で消費する「エネルギーの元」となる栄養素のことです。
「糖質を摂らなくても脂肪を体のエネルギーとして使ってくれるから、別に摂らなくても良いのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、糖質がない状態(ケトン体)でのトレーニングは効果が薄いと言われています。
オーストラリアのカトリック大学が水泳のアスリートを対象にした実験⑴では、ケトン体グループは心肺機能が改善したにも関わらず、パフォーマンスが低下したとのことです。
エンジンの性能が良くなったのに、燃費が悪くなったイメージですね。
アスリートでこの結果なので、私たちのような一般的なトレーニーがケトン体でトレーニングを行っても、効果が薄いことが予想できます。
筋トレ前後に糖質を摂るべきたった1つの理由
前章で、糖質を摂らないままトレーニングをすることのデメリットを理解できたと思います。
結論、筋トレ前後に糖質を摂取すべき理由は、『トレーニング効率が上がるから』です。
筋肉の合成をサポートする
筋トレをする上で必ず抑えておくべきタンパク質の摂取量でも書きましたが、筋肉を成長させる上で最も重要な栄養素は「タンパク質」です。
しかし、タンパク質を筋肉に合成させるためには糖質の摂取が必須です。
トレーニングを行う際に糖質が足りていないと、体内のタンパク質を分解することでエネルギーが作り出されてしまいます。
本来、タンパク質は筋肉を作るための材料として使われるため、筋肉が合成されにくくなるということです。
グリコーゲンの材料になる
糖質は、筋肉や肝臓でグリコーゲンになってエネルギー源として貯蔵され、必要に応じて消費されます。
また、脳や神経系は糖質を唯一のエネルギー源としているため、十分に摂取することで集中力を保ち、高強度のトレーニングにも良い効果をもたらします。
前章でも書いたように、糖質が不足している状態でのトレーニングは避けるべきです。
免疫力を高める
実は、糖質を摂っておくことで風邪を引きにくくなることが、クイーンズランド工科大学のレビュー論文⑵によって分かっています。
論文の一部を抜き出すと、「定期的に適度な運動をする人は風邪を引きにくい傾向があるが、定期的に激しい運動をしている人は、風邪のリスクが高まってしまう」とのことで、対策としては『糖質の摂取がベスト』だと書いてあります。
風邪を引いた時におかゆを食べるように、糖質は免疫力を高める上でも重要ということですね。
適度に糖質を摂取し、免疫力を高めておきましょう。
筋トレ前後の糖質摂取のタイミング
筋トレ前後の糖質摂取のタイミングは、以下を目安にすると良いです。
・筋トレ後→エクササイズの30分~2時間後
それぞれ解説していきます。
筋トレ前→エクササイズの1~2時間前
筋トレ前の糖質補給は、エクササイズの1~2時間前を目安にしましょう。
このタイミングで糖質を摂ることで、トレーニングに必要なエネルギー源となる「筋グリコーゲンの量」を高めておくことができます。
繰り返しになりますが、空腹感がある状態でのトレーニングは避け、食事がとれなかった場合は、ドリンクやゼリー飲料などを活用し、糖質を摂るようにしましょう。
摂取量の目安は、『体重×0.5~1.0g』になります。
体重が60kgの場合、30~60gですね。
・おもち…約25g
・さつまいも…約30g
・羊羹…約35g
トレーニング前の糖質としてオススメの食品(食材)を挙げていますので、ぜひ参考にしてください。
筋トレ後→エクササイズの30分~2時間後
筋トレ後の糖質補給は、エクササイズの30分~2時間後を目安にしましょう。
このタイミングで糖質を摂ることで、トレーニングで枯渇した筋肉中のエネルギー源を回復させることができます。
とは言え、すぐに食事がとれない場合もあると思います。
その場合は、エクササイズ直後に補食としておにぎりやバナナなどを活用し、タンパク質がエネルギーに変わることを抑制した上で、2時間以内にしっかりとした食事を摂ることが理想的です。
また、このタイミングでタンパク質を摂ることも忘れないようにしましょう。
摂取量の目安は、『体重×1.0~1.5g』になります。
体重が60kgの場合、60~90gですね。
※この数値は、あくまでエクササイズ後の数値ですので、時間が経つにつれて摂取量を調整してください。
・バナナ…約20g
・雑炊…約60g
・うどん…約50g
こちらもオススメの食品(食材)を挙げていますので、ぜひ参考にしてください。
※また、タンパク質については表記しておりません。
筋トレ中の糖質摂取について
ここまでは、筋トレ前後の糖質摂取について解説しましたが、筋トレ中の糖質についても触れておきます。
結論、筋トレ中の糖質摂取は以下の2パターンに分類されます。
・一般的なエクササイズ
ここでいう激しいエクササイズとは、ロードバイクやマラソンのようなもので、一般的なエクササイズは筋トレやジョギングなどのことを指します。
激しいエクササイズ
激しいエクササイズを行う際には、1時間あたり40g以上の糖質を摂取すべきということが、スターリング大学が3年以上のトレーニング歴を持ったサイクリストを対象にした実験⑶で分かっています。
40gというのはおおよそおにぎり1個分ほどで、このくらいの糖質を摂取しないと力が出なくなるというわけですね。
実際に、世界で最も過酷と言われるツール・ド・フランスの選手らは、背中のポケットに糖質を含んだスナックバーなどを入れ、レース中に補給しています。
激しい運動の場合、それだけ糖質(カロリー)が必要なのです。
一般的なエクササイズ
とはいえ、私たちがロードバイクのような激しい運動をすることは滅多にないですよね。
多くの人が行う筋トレなどでは、そこまで多くの糖質を摂取する必要はありません。
運動前にしっかり糖質が摂れている場合ですと、筋トレ中は水分補給だけでも十分です。
中には、エクササイズ中にスポーツドリンクを飲む方もいらっしゃいますが、これは危険なので辞めましょう。
多くのスポーツドリンクは体内に存在するナトリウムよりも電解質の濃度が低く、逆に血中の電解質濃度が低下してしまい、「低ナトリウム血症」が起こるとされています。
『エクササイズの前に糖質を摂取し、エクササイズ中は基本的に水を飲む』
これで、多くのエクササイズはパフォーマンスを維持したまま行えます。
【食品別】糖質の含有量
途中でいくつか出しましたが、よく口にする糖質を多く含んだ食品(食材)を挙げておきます。
・スパゲッティ(1食分)…約55g
・ラーメン(生麺)…約65g
・そうめん(乾麺)…約70g
・うどん(ゆで麺)…約50g
・じゃがいも(100g)…約15g
・玉ねぎ(1個)…約15g
・キャベツ(1玉)…約25g
・砂糖(大さじ1)…約10g
・はちみつ(大さじ1)…約20g
・柿(1個)…約25g
・アイスクリーム(1個)…約20g
トレーニング前後の適切なタイミングであれば糖質は積極的に摂るべきなので、忘れないように上記の数値をメモしておきましょう。
まとめ:筋トレと糖質の関係性
最後に本記事のまとめです。
・糖質はトレーニング効果を最大限にするためにも、必須の栄養素である
・エクササイズの1~2時間前、エクササイズの30分~2時間後で糖質を摂取する
・エクササイズ中の糖質は基本的にはなくても良い
・仮に摂取する場合もスポーツドリンクは避ける
糖質制限という言葉があるように、ダイエッターにとって糖質は悪とされがちです。
しかし、本記事で解説したように筋肉を成長させ、理想の体に近づくためには摂取する必要があります。
適切に糖質を摂取し、理想の体に近づけましょう。
くびれサーキットトレーナー 上原道矢
⑴https://physoc.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1113/JP273230
⑵https://journals.physiology.org/doi/full/10.1152/japplphysiol.00622.2016
⑶https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5793265/
▼関連記事
・筋トレをする上で必ず抑えておくべきタンパク質の摂取量
・糖質制限ダイエットの効果と意識すべきポイント【これでリバウンドなし】