LESSON COLUMNレッスンコラム
2019.12.10
【疑問】体が硬いのはダメなのか?→いいえ、ダメではありません。
あなたは上の写真のような「開脚」に憧れていませんか?
『開脚ができる人=体が柔らかい人』という印象がありますが、果たして体が柔らかいことは本当に良いことだけなのでしょうか?
実は、体が柔らかいことにはメリットばかりではなくデメリットもあります。
本記事ではそんな「体の柔軟性」にまつわる知識について解説していきます。
関連記事:体が柔らかいことによる5つのメリット【オススメはペアストレッチです】
目次
体が硬いことのデメリット
あなたが気になっているであろう、体が硬いことで起きるデメリットは以下の通りです。
- 太りやすい
- 肩こり、腰痛の症状が出る
- むくみ、冷え症になりやすい
- 疲労がなかなか取れない
それぞれのデメリットについて解説します。
太りやすい
筋肉が硬くなると血行不良になり、代謝が低下します。
そうなると痩せにくい体になるため、体を動かす機会が減り、さらに筋肉が硬くなってますます動かなくなるという悪循環に陥ってしまいます。
ですので、ある程度の柔軟性は必要であると言えるでしょう。
肩こり、腰痛の症状が出る
体が硬い人の多くは、肩や腰の不調を持っています。
体が硬いということは、関節の可動域が狭いということです。
筋肉が伸びることで関節への負担を減らし、肩こりや腰痛を緩和するのですが、体が硬いと関節の負担が大きくなってしまうのです。
関連記事:【悲報】肩こりは揉んでも治りません【解消法はエクササイズです】
特に、股関節が硬いと脚を引き上げられなかったり、スムーズに開けなかったりするため、必要以上に腰が働きすぎてしまい、腰痛を引き起こしてしまうのです。
関連記事:【毎日5分でOK】股関節のつまりや痛みを解消する方法
むくみ、冷え症になりやすい
体が硬いとだんだん血管も硬くなっていきます。
そうなると、心臓が常に強い力で血を送らなければならず、ますます血管に負担がかかってしまいます。
また、体温が下がってしまうと体が硬直するため、冷え症やむくみを起こしやすいです。
疲労がなかなか取れない
先ほども少し述べましたが、筋肉が硬直すると血行不良になります。
血行不良になると酸素や栄養が全身に行き届かず、老廃物が体に溜まってしまう状態に陥ります。
これを解決するためには、柔軟性を高め血流を良くすることが必要です。
また、体が硬いまま生活していると、寝ている時も背中に圧がかかってしまい、痛みを感じることがあります。
そうなると、さらに筋肉が硬くなり、血流が悪くなって疲れが取れにくい体になってしまいますよ。
体が硬くなる3つの原因
体が硬くなる原因としては、以下のことが挙げられます。
- 同じ姿勢でいることが多い
- トレーニングの前後でケアをしていない
- 寒さなどによる環境的な要因
それぞれの原因について解説します。
同じ姿勢でいることが多い
日本人はデスクワーカーが世界の中でもトップクラスで、1日平均7時間以上座っていると言われています。
つまり、体が硬くなるのは当たり前の結果と言えるでしょう。
長時間座っていると、筋肉は固まってしまいます。
普段から運動習慣がある方なら問題ないですが、全く運動をしない方もいらっしゃるでしょう。
そんな方は、定期的に体を動かすことが求められます。
またこれは、デスクワーカーに限ったことではありません。
仕事で体を動かす人でも、いつも同じ動きであれば使っていない筋肉は硬まります。
ですので、一度自分の仕事スタイルを思い返してみると良いですよ。
トレーニングの前後でケアをしていない
これは運動習慣がある方に対してですが、トレーニング前後のケアが不十分であると、柔軟性は低下してしまいます。
特に、トレーニング後のケアは重要です。
正しい方法で正しい秒数でストレッチを行い、体をケアしましょう。
運動後のストレッチは、疲労を改善するだけでなく、柔軟性の向上にも繋がりますよ。
寒さなどによる環境的な要因
先ほども少し触れましたが、寒さによって体が硬くなることがあります。
このような外的要因は変えることはできないので、何か対策を打ちましょう。
着るものに気をつけたり、食べるものに気を配ったりすることで、寒さによる柔軟性の低下を防ぐことができますよ。
余談:体の硬さに年齢は関係ない
「年齢を重ねると体が硬くなるのでは?」と疑問を抱いている方もいらっしゃると思いますが、体が硬くなるのは年齢が原因ではありません。
その多くは、運動不足などによる筋萎縮や筋緊張が原因なのです。
子どもの頃は、関節や関節周辺の組織が完成されていないため柔らかいのです。
ですので、子どもの頃の柔軟性と比べるのはあまり意味がありません。
体が硬いことは決して悪いことではない
ここまで体が硬いことのデメリットや原因について話してきましたが、実は体が硬いことは悪いことではありません。
話が矛盾していると混乱される方もいらっしゃると思うので、整理しながら説明していきます。
日常生活に支障がないならそれで良い
確かに、新体操の選手やダンサーを見ると体が柔らかくてうらやましく思うでしょう。
しかし、多くの人は新体操をしませんし、ダンスも踊りません。
つまり、そこまでの柔軟性は必要ないということです。
むしろ、柔軟性がありすぎるリスクもあるということを認知しておく必要がありますね。
体が柔らかいことによるデメリット
以前の体が柔らかいことによる5つのメリット【オススメはペアストレッチです】では、体が柔らかいことのメリットを紹介しましたが、デメリットもあります。
それが、「怪我をしやすい」と「姿勢が悪くなることがある」です。
関節が柔らかい人がかえって捻挫をしやすいというデータがあります。
このデータからもスポーツ選手が静的ストレッチをせず、動的ストレッチをする理由が分かりますね。
止まった状態でストレッチを行うよりも、動きながらストレッチを行うことで関節のはまりを良くし、なおかつ可動域を広げることができるのです。
次は、もう1つの「姿勢が悪くなることがある」について見ていきましょう。
体が柔らかすぎて姿勢が悪い例
まずは、以下の写真を見てください。
モデルは手のひらが床につくほど柔らかいですが、決して良い姿勢とは言えません。
「柔軟性の相対的なバランス」や「腰椎と胸椎の硬さのバランス」が良くて初めて、機能性が良い柔軟性のある体と言えます。
言い方は少し悪いですが、ただ柔軟性があるだけでは機能的ではないため、ほとんど意味がありません。
前屈でどこから曲げているかを見る
以下の写真を比較してみましょう。
上から
- 骨盤が後傾して腰椎から曲がっているパターン
- 背骨が曲がらず股関節で前傾するパターン
- 正しい前屈のパターン
になります。
柔軟性がある人にありがちなのが、2つ目の「背骨が曲がらず股関節から前傾するパターン」です。
つまりこの場合、骨盤が前傾していることが多く、もも前と腰が硬くなりやすいと言えます。
肘の過伸展はインピンジメント症候群を起こしやすい
以下の写真をご覧ください。
特に右肘が反り返っているのが分かると思います。
この状態で以下のようなエクササイズを行うと、筋肉や軟骨などが繰り返し挟まれたり衝突を起こす「インピンジメント」を発症しやすくなります。
このようなトレーニングを行う際には、肘が伸ばしすぎないように意識することが大切です。
柔軟性の相対的なバランスを見る
これは、もも裏の柔軟性をチェックするテストです。
モデルの場合、左足を挙げた際に右足の膝が曲がっているのと、左足の膝が曲がっているのが分かると思います。
「左のもも裏」が硬いと、たいていの場合「右のもも前」が硬くなっています。
これは絶対ではありませんが、ほとんどの場合当てはまります。
ですので、左のもも裏の柔軟性を出すこと、右のもも前をストレッチすることが必要です。
これは、腰椎の硬さをチェックするテストです。
モデルの場合、右に捻る時の方が捻れていないことが分かりますよね。
右側に捻りにくい原因の1つとして、「脇腹の筋肉が硬いこと」が挙げられます。
捻りにくい側の脇腹のストレッチを行いましょう。
では、次章で柔軟性を上げるためのストレッチとエクササイズを見ていきましょう。
柔軟性を上げるためのストレッチ
ここでは、モデルに合わせて「柔軟性はあるけど反り腰」のパターンの改善方法について解説します。
柔軟性があるけど猫背という人はほとんどいないので、猫背パターンの改善方法については省略します。
モデルがストレッチを行う部位は以下の通りです。
②左のもも裏
③右の脇腹
④腸腰筋
⑤左の外もも
それぞれのストレッチの解説を見ていきましょう。
右のもも前
①横向きで寝て、左足を曲げた状態で抱える。
②その状態から上側の脚を後ろ側へ引っ張る。
このストレッチを15秒ほど行いましょう。
左のもも裏
①伸ばす方の足を前に出し膝を伸ばす。後ろ足は膝関節が90°になるようにし、つま先を立てておく。
②その状態から体を前に倒し、もも裏を伸ばす。
右の脇腹
①左足を前に出し、右手を斜め上方向へ伸ばしていく。
このストレッチを15秒ほど行いましょう。
腸腰筋
①左足を前に出し、写真のように膝関節を90°に保つ。
②その状態から前に重心を移動して、右足の付け根が伸びているのを感じる。
このストレッチを15秒ほど行いましょう。
腸腰筋は放置して硬くなっていることが多いので、意識的にストレッチすべき部位です。
左の外もも
①ストレッチポールに外ももを乗せる。
②ポールを使って外ももの筋膜をリリースさせる。
このストレッチを30秒ほど行いましょう。
外ももは普段歩くだけでも使われている部位です。
しかし、ストレッチする機会はほとんどないので、意識してほぐす必要があります。
柔軟性を上げるためのエクササイズ
ストレッチをした後は、弱くなっている部位のエクササイズを行います。
モデルがエクササイズを行う部位は以下の通りです。
②お尻
③骨盤
それぞれのエクササイズの解説を見ていきましょう。
もも裏
①脚を股関節幅に開きパッドに乗せる。
②その状態からもも裏の筋肉を使って膝を曲げる。
③そこからスタート位置にゆっくり戻していく。この動作を10回3セット行う。
このマシンはくびれサーキットにもあるマシンで、もも裏の筋肉が弱くなっている時にオススメです。
詳しい使い方については、レッグエクステンションとレッグカールの使い方を徹底解説【注意点あり】をご覧ください。
お尻
①肩甲骨あたりをバランスボールに乗せて、膝を軽く曲げる。
②その状態からお尻を上げる。その際に、骨盤が前傾しないように意識する。(もともと前傾位のため、後傾を意識する)
この動作を10回3セット行いましょう。
骨盤
①バランスボールの中心に座る。
②ボールを後方へ滑らし、骨盤の前傾を作る。
③その後ボールを前方へ転がし、骨盤の後傾を作る。
骨盤が前傾しているので、特に後傾を作る動きを意識して行いましょう。
回数は15回を目安にして下さい。
まとめ
誰もが憧れる開脚180°ですが、そこを目指す必要がないことを理解していただけましたか?
柔軟性があっても関節が適合して(はまって)いないと、かえって怪我をするリスクが高まります。
また、本記事で解説したように姿勢が悪くなることもあります。
毎日ただストレッチをするだけでは、怪我をするリスクを上げてしまうだけです。
ただ柔軟性を上げるのではなく、関節がきちんとはまった状態で相対的なバランスを考えながら柔軟性を上げましょう。
くびれサーキットトレーナー 上原