LESSON COLUMNレッスンコラム
2021.02.25
【重要】切っても切り離せない筋トレと睡眠の関係性
「筋トレ後に眠くなるのって、何か理由があるのかな…?」
「頑張って筋トレしているのに、なかなか筋肉がつかない…」
「筋トレしても寝付けない…。何か良い方法はないかな…?」
こういった悩みや疑問を持っていませんか?
本記事では、意外と見落としがちだけど、実は大事な「筋トレと睡眠の関係性」について解説していきます。
筋トレの効果を最大化させるために必要な睡眠に関する情報をすべて詰め込んでいるので、ぜひ参考にしてください。
目次
睡眠のメカニズム
私たちは、毎日ほぼ同じ時間に眠り、同じ時間に目が覚めますよね。
このような規則正しい睡眠リズムは、疲労による「睡眠欲求」と、体内時計に指示された「覚醒力」のバランスによって作られています。
睡眠には、浅い眠りの「レム睡眠」と深い眠りの「ノンレム睡眠」の2種類があり、私たちは睡眠中に、この2つを90~120分のサイクルで交互に繰り返しています。
レム睡眠
レム睡眠の時、全身の筋肉は弛緩していますが、脳は活発に働いています。
記憶の整理や定着が行われるのは、このタイミングです。
また、夢を見るのもこのタイミングですね。
夢が記憶に残るのは、「レム睡眠時に脳が活動しているから」と考えられています。
これらのことから、レム睡眠は『体の眠り』とも言われています。
ノンレム睡眠
一方、ノンレム睡眠は脳が休息している状態で体も休んでいますが、筋肉はある程度働いています。
ノンレム睡眠の眠りの深さは4段階に分けられ、深くなるほど脳は休息状態になります。
つまり、一番下の段階までいくことで、より深い睡眠になるわけですね。
このように、ノンレム睡眠は脳を休める役割を担っていることから、『脳の眠り』とも言われています。
筋トレすることで徐波睡眠が増える
ここ最近の研究によって、筋トレによって徐波睡眠が増えることが分かっています。
徐波睡眠はノンレム睡眠の中でも、特に深い睡眠のことを指します。
つまり、「筋トレすることで睡眠の質が高まる」ということです。
ランニングやジョギングなどの有酸素運動をした日に、深い眠りについた経験をしたことがある方は多いのではないでしょうか?
筋トレをすることで、これと同じような、深い睡眠(質の高い睡眠)を得ることができるわけですね。
睡眠不足によって起こる体への悪影響
過去の研究によって分かっている睡眠不足によるデメリットが、以下の通りです。
なお、ここでは体への影響だけを抽出しています。
・太る原因になる
・風邪を引きやすくなる
それぞれの悪影響について解説していきます。
筋肉が育たなくなる
筋肉痛がある時に筋トレをしても良いのか問題をプロが徹底解説!でも書きましたが、筋肉を大きくするためには、栄養補給と睡眠(休息)が必須です。
実際に、ビクトリア大学が行った研究⑴によると、「睡眠時間が短いと、タンパク質合成が大幅に減ること」が分かっています。
具体的には、4時間睡眠のグループは8時間睡眠のグループと比べて、19%もタンパク質合成が減っていました。
先述したように、ダメージを受けた筋肉は睡眠によって回復します。
つまり、質の高い睡眠を取らないと、筋トレの効果を最大限に発揮できないわけですね。
太る原因になる
睡眠不足が太る原因であることは、ご存知だと思います。
アメリカで行われた実験⑵では、500人の男女を13年にわたって追跡調査したところ、「1日の睡眠が7時間以下の人は、約8倍も肥満になる確率が高かった」とのことです。
睡眠不足が肥満になる仕組みは、次のように考えられています。
②脳が満足しなくなる
③美味しいものが食べたくなる
④食事中毒
つまり、寝不足によって脳のリミッターが外れるわけですね。
「ボディメイクをするためには生活習慣を整えることが大切」と言われてますが、その理由の1つがここにあるわけです。
風邪を引きやすくなる
睡眠不足の日が続くと免疫力が落ち、風邪を引きやすくなります。
実際に筆者が風邪を引く時は、睡眠不足が主な原因ですね。
実際に、カーネギーメロン大学が行った実験⑶によって、「153人の参加者を風邪のウイルスに伝染させたところ、1日の睡眠が7時間以下の人はそうでない人に比べて、3倍も発症率が高かったこと」が分かっています。
睡眠時間を確保した上で、免疫力を高める食事と運動を意識すれば、風邪を引くことはほとんどなくなります。
筋トレ後に眠くなる原因
筋トレ後に眠くなった経験をしたことがある方は、多くいらっしゃると思います。
主には、下記の5つのどれかが原因と言われています。
(※複数の原因が合わさっていることもあります)
②筋トレ中に分泌される成長ホルモンの影響
③筋トレによる疲労
④体温の急激な低下
⑤交感神経から副交感神経へのシフト
それぞれの原因について、簡単に解説していきます。
①エネルギー消費による血糖値の低下
私たちの体は、食事などから摂取した糖質を分解して、グリコーゲンとして体内に蓄積します。
このグリコーゲンは、筋トレなどで筋肉を動かす際のエネルギー源となり、筋トレを行えばそのぶん蓄積されたグリコーゲンが消費されます。
つまり、ハードなトレーニングをするほど、体内の血糖値が低下していくわけです。
糖質の一部であるブドウ糖は脳の働きのエネルギー源となるので、血糖値が低下することで脳の働きが鈍化して、強い眠気に繋がると言われています。
「血糖値が急激に下がると眠くなる」ということを、頭に入れておくと良いですね。
②筋トレ中に分泌される成長ホルモンの影響
筋トレをすることで、血中の乳酸濃度が高まり、成長ホルモンの分泌が促進されます。
成長ホルモンは、筋繊維の修復や身体組織の回復にも関わっていますが、同時に、睡眠中に分泌がピークを迎え、より深い睡眠を誘発する効果を持っています。
つまり、トレーニング後の成長ホルモンの分泌によって、眠気を感じることがあるわけですね。
③筋トレによる疲労
筋肉が疲労することで、壊れた筋組織を修復するエネルギーを蓄えるために必要な休息をカラダと脳が欲し、眠くなります。
これは、体を維持する上では欠かせない働きです。
ランニングやジョギングをした後に眠くなるのも、これと同じように「体が疲れたから」が原因ですね。
④体温の急激な低下
筋トレをすると、血管が拡張し血流が増加することによって体温が上昇します。
しかし、筋トレ後は汗をかくことで体温が急激に下がります。
【簡単】筋トレ後の疲労回復のポイント3つ【予防法も解説します】でも解説しましたが、最も疲れがとれる入浴のタイミングは、「寝る1〜2時間前」です。
これは、一度上がった体温が徐々に下がってくることで眠気が誘発されるためです。
つまり、筋トレでもこれと同じような現象が起きているわけですね。
⑤交感神経から副交感神経へのシフト
人間には、活動を支える「交感神経」とリラックスを司る「副交感神経」の2つの自律神経が備わっています。
そして、この2つの自律神経がバランスを取り、身体組織の活動をコントロールして健康を維持しています。
「ヨガや瞑想中に眠くなった」という経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか?
これは、リラックスを司る「副交感神経」が優位になったからです。
筋トレを行っているときには、交感神経が優位ですが、筋トレを終えてクールダウンをするのに伴い、交感神経から副交感神経にシフトします。
そして、少しずつ眠くなるわけですね。
筋トレ後の眠気を軽減させる方法
筋トレ後に眠くなる原因について理解したところで、解決法も提示します。
ここでは、「筋トレ前」と「筋トレ後」に分けて解説していきます。
筋トレ後
まずは、筋トレ前に意識すべきポイントからです。
・トレーニングの強度を下げる
・糖分やプロテインを補給しておく
それぞれのポイントについて解説していきます。
カフェインを摂っておく
カフェインは眠気を取り除いてくれるだけでなく、運動時のパフォーマンスアップにも役立ちます。
ビクトリア大学が行ったメタ分析⑷によると、筋トレの30〜60分前にカフェインを摂取することで、無酸素運動のパワー向上と持久力アップの効果があるとのことです。
カフェインの覚醒作用は最大6時間ほど続くので、筋トレ前に飲むことはオススメの対処法と言えますね。
トレーニングの強度を下げる
筋トレ後に予定がある時は、軽めのメニューに留めて、疲労を残さないようにしましょう。
腹筋や腕立て伏せといった、自重トレーニングに取り組むのが良いかもしれません。
眠気の度合いにもよりますが、マシンやバーベルを使って追い込むような筋トレは、トレーニング後に予定がない時に取り組むのがオススメです。
糖分やプロテインを補給しておく
筋トレ前後に糖質を摂るべきたった1つの理由【結論:筋肉が成長するからです】でも書いたように、筋トレ中は糖質がエネルギー源として消費されます。
ですので、「筋トレ1〜2時間前」に糖質を摂取しておくのがベストです。
摂取量の目安は、『体重×0.5〜1.0g』です。
おにぎりやバナナなどを活用して、ある程度の糖質を摂取しておきましょう。
ただし、筋トレ前にガッツリした食事をすると、パフォーマンスも低下してしまいますし、満腹感によって副交感神経が優位になり、結果として眠気に繋がることも考えられます。
あくまでも、適切な量の範囲で摂取しましょう。
筋トレ後
次は、筋トレ後に意識すべきポイントです。
・体温の低下を緩やかにする
・食事や仮眠をとる
それぞれ解説していきます。
糖分を摂取する
筋トレ前に糖質を摂取することも大切ですが、それでもエネルギー源として消費されるので、筋トレ後にも糖質の摂取が必須です。
筋トレ後の糖質摂取は、エクササイズの「30分〜2時間後」を目安にしましょう。
摂取量の目安は、『体重×1.0~1.5g』です。
ただし、大量に糖質を摂りすぎると、血糖値が急上昇して眠くなることがあります。
ここも、あくまでも適量を意識しましょう。
体温の低下を緩やかにする
ストレッチで徐々にクールダウンしたり、体が冷える前にシャワーを浴びたりして、急激な体温の低下を抑えることも有効です。
ただし、血圧の急上昇を避けるため、筋トレ後の長時間の入浴は控えましょう。
また、【簡単】筋トレ後の疲労回復のポイント3つ【予防法も解説します】でも解説したように、アクティブレストも効果的です。
体温の急激な低下を下げるためにも、筋トレ後の行動を意識しましょう。
食事や仮眠をとる
「糖質の摂取が大切」と書いたように、筋トレ後には食事を摂る必要があります。
特に、タンパク質の摂取は大切です。
筋肉を成長させるためにも、糖質とタンパク質を摂取を忘れないようにしましょう。
また、眠い時は仮眠をとるのも1つの手です。
ただし、寝すぎると夜に寝付けなくなったり、睡眠モードに移行してしまって起きていても身体がだるくなったりする、という事態に繋がります。
どうしても眠い時は、15〜30分の範囲内で仮眠をとりましょう。
筋トレの効果を最大化させるための快眠法
筋トレの効果を最大化させるためには、睡眠を意識せざるを得ません。
ボディメイクに成功した人の99%が、睡眠にこだわっていると言っても良いほどです。
ちなみに、私もそのうちの1人です。
そんな私がオススメする快眠法が、以下の3つです。
②寝る1〜2時間前に、40℃の湯船に10〜15分浸かる
③適度に糖質を摂取する
中には、ダイエット成功のカギが睡眠にある3つの理由【生活習慣を変えよう】で解説した内容も入っています。
復習の意味も込めて、もう一度読んで頂ければ幸いです。
①睡眠時間は「7時間」を目安にする
適切な睡眠時間は人それぞれですが、過去の研究を見る限りでは、「7〜8時間」がベストな睡眠時間です。
特に、睡眠時間が6時間未満になると、太りやすくなったり、病気の原因になったりすることが分かっています。
「なかなか寝付けない…」「日中にボーッとすることが多い。」といった人は、睡眠時間が短い(または質が悪い)可能性が高いです。
こういった方は、まず7時間の睡眠時間を確保してみてください。
②寝る1〜2時間前に、40℃の湯船に10〜15分浸かる
【簡単】筋トレ後の疲労回復のポイント3つ【予防法も解説します】でも書きましたが、寝る1〜2時間前に40℃の湯船に10〜15分浸かるのが、最も疲れがとれる(睡眠の質が高くなる)入浴法と言われています。
ただし、1〜2時間と範囲が広いので、何度か試して自分に合ったタイミングを見つけてください。
また、熱すぎると逆に疲れることもあるので、40℃を目安に設定しましょう。
③適度に糖質を摂取する
本記事で何度も登場していますが、糖質は体にとって大切な栄養素です。
寝る前の適度な糖質は、睡眠の質を上げることが、金沢医科大学の研究⑸によって分かっています。
実際にお客様にもお伝えしたところ、睡眠の質が改善されたので、やはり糖質は大事な栄養素だと言えますね。
ただし、摂りすぎは良くないので、あくまでも適度な範囲内でおさめましょう。
まとめ:睡眠を上手く取り入れて、筋トレの効果を最大化させる!
最後に、本記事のまとめです。
・睡眠不足によって、筋肉が育たなくなったり、太る原因になったりする
・筋トレ後の眠気は、筋トレ前と筋トレ後の行動によって対策できる
・筋トレ前はカフェインや糖質を摂取し、筋トレ後は食事や仮眠をとる
・糖質は大切な栄養素で、筋トレ前にも後にも適切な量の範囲内で摂取するべき
睡眠は意外と見落としがちなポイントですが、筋肉を成長させるためには大切なポイントです。
ぜひ本記事を参考に、睡眠を意識して筋トレの効果を最大限に発揮させてください。
くびれサーキットトレーナー 上原道矢
⑴https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7217042/
⑵https://www.nap.edu/read/11617/chapter/5
⑶https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2629403/
⑷https://bjsm.bmj.com/content/54/11/681.long
⑸https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0105198