LESSON COLUMN

2020.11.27

筋トレ時に呼吸を意識するべき3つの理由と正しい呼吸法

 

「筋トレを始めたけど、呼吸のタイミングがイマイチ分からない…」
「筋トレ中に呼吸を止めてしまうことがある。」

 

こういった悩みを抱えていませんか?

 

意外と意識されていない呼吸ですが、筋トレ時の呼吸はトレーニング効果を左右する上でも、とても重要な役割を担っています。

 

ということで、本記事では「筋トレと呼吸」に焦点を当てて、呼吸を意識するべき理由から正しい呼吸法まで、徹底的に解説していきます。
ぜひ最後まで読んで、正しい呼吸法をマスターしてください。

 

筋トレ時に呼吸を意識するべき3つの理由

 

 

筋トレ時に呼吸を意識するべき理由は、主に以下の3つです。

①安全度を上げることができるから
②血圧の上昇を防げるから
③トレーニングの効果を高められるから

それぞれの理由について解説していきます。

 

①安全度を上げることができる

 

トレーニングにおいて、最も避けなければならないことは「怪我」です。

 

筋トレ(特に高重量を扱うトレーニング)では、フォームはもちろん呼吸が正しくできていないと、怪我のリスクが高まります。

 

「鼻から吸って口から吐く」という基本的な呼吸ができないと、酸素が体の隅々まで渡りません。
その結果、酸欠状態になりトレーニングの効果が落ちるだけではなく、怪我のリスクが高まってしまうのです。

 

また、脳に酸素が回らないと、集中力が落ちて怪我のリスクがより高まります。
適切な呼吸を行うことで、体を安定させることができるため、こういった怪我のリスクを抑えることができるのです。

 

②血圧の上昇を防げる

 

運動をすることで血圧は上がりますが、急激な血圧の上昇や血圧が高い状態が長時間続くと健康を損ねてしまいます。
筋トレも同様で、健康へのリスクを最小限に抑えるためにも、正しい呼吸法を意識しなければなりません。

 

正しい呼吸法を行うことで、体内へ十分な量の酸素を取り込むことができます。
すると、血中酸素濃度が増え、心臓が無理をして大量の血液を送り出さなくても体中へと酸素が行き渡るようになり、血圧の急上昇を防げるというわけです。

血圧の急上昇は頭痛やめまいを引き起こすだけでなく、最悪の場合、心不全や大動脈解離などの重大なトラブルに繋がります。

筋トレの安全性を高める上でも、必ず正しい呼吸法を行うようにしましょう。

 

③トレーニングの効果を高められる

 

先述したように、適切な呼吸を行うことで全身に酸素が行き渡ります。

 

体内に入った酸素は血液に溶け込み全身の細胞へ行き渡り、細胞は酸素を使ってエネルギーを作り出します。
これが大きなパワーを生み出す要因となり、より重たいウエイトに対応できるようになるのです。

 

また、正しい呼吸を行えると腹圧が高まり、腹筋のトレーニングにもなります。
常に腹圧を意識してトレーニングを行えるようになると、お腹の引き締めにもなるわけですね。

 

呼吸の種類

 

 

呼吸には、主に以下の3種類があります。

①腹式呼吸(横隔膜呼吸)
②胸式呼吸
③腹胸式呼吸

それぞれのやり方や特徴を解説してきます。

 

①腹式呼吸

 

腹式呼吸は呼吸の基本とも言えます。

 

腹式呼吸をすることで副交感神経が優位になり、体がリラックスモードに入ります。
第3章でも書きますが、腹式呼吸は必ずできたほうが良いです。

 

腹式呼吸は横隔膜の上下左右への動きを出す呼吸のため、横隔膜とつながっている「大腰筋」が活性化されます。
上半身と下半身をつなぐ唯一の筋肉である大腰筋は、日本人は弱くなりやすい筋肉で、そのためカラダの連動性が低くなったり、下半身に頼って筋肉太りむくみにもつながります。

 

大腰筋が働くようになると、大腿の動脈の血流が良くなり、むくみの改善にもつながるわけですね。

 

また、腹式呼吸には以下のようなメリットがあると言われています⑴。

・体の疲れがとれやすくなる
・メンタルが強くなる
・認知機能がアップする

このように、メリット盛りだくさんの腹式呼吸の超基本的なやり方を紹介します。

腹式呼吸の基本的なやり方

①仰向けに寝て、膝を軽く曲げる。
②両手を腹に置く。
③5~8秒かけて鼻から息を吸う。この時、胸がふくらまないように注意する。
④横隔膜のふくらみを意識しつつ、 5~8秒かけて息を吐く。(鼻でも口でも良い)

腹式呼吸はその名の通り、お腹で空気の入れ替えを行う呼吸法です。
胸に空気が入らないようになるまで、そして日常生活でも無意識にできるようになるまで、繰り返し練習しましょう。

 

また、腹式呼吸はトレーニング前に行うことでより効果を発揮しやすくなるので、ぜひトレーニング前のルーティンに組み込まれてください。

 

②胸式呼吸

 

胸式呼吸は腹式呼吸とは反対に、交感神経が優位になる呼吸法です。
運動をする時や力を使う時に最適な呼吸法と言えます。

 

胸式呼吸のメリットとしては、胸郭の可動域を上げられること挙げられます。

特に、前だけでなく、横・背中部分の後ろにも呼吸を入れることで、肋間、肋椎関節の可動域にも良い影響を与えることができます。

この胸郭の可動域は、歩行やジョギング、ゴルフなどの回旋スポーツでは欠かせません。
実際に筆者もゴルフを始めたので、胸式呼吸を行い、胸郭の可動域を上げています。

 

しかし、日常的に胸式呼吸をしていると呼吸筋が疲労し、首や肩の筋肉の緊張が続き、首や肩のコリにつながるので注意が必要です。

 

やり方は腹式呼吸とは逆で、お腹に空気を入れないように注意し、胸だけに空気を入れましょう。

 

③腹胸式呼吸

 

腹胸式呼吸は意識せずに呼吸をすると発生する呼吸法で、腹式と胸式の両方を使います。

 

無意識のうちになる呼吸法なので意識するのは難しいですが、腹式呼吸や胸式呼吸を行う際に、この腹胸式呼吸になっていることに気づけるはずです。

 

筋トレ時の正しい呼吸法

 

 

『力を入れる時に吐き、その前の準備段階で吸う』
これが、筋トレ時の大原則です。

 

基本的には「筋肉を伸ばす時に吸い、縮める時に吐く」

 

以下にくびれサーキットで実際に使っているマシンを用いながら、どのタイミングで呼吸をするのかを写真付きで解説していきます。

 

チェストプレス

 

胸の筋肉が縮むのは、バーを「押す時」です。
ですので、バーを押す時に息を「吐き」、戻す時に息を「吸い」ます。

 

 

 

レッグエクステンション

 

もも前の筋肉が縮むのは、膝を「伸ばす時」です。
ですので、膝を伸ばす時に息を「吐き」、曲げる時に息を「吸い」ます。

 

 

 

レッグプレス

 

お尻の筋肉が縮むのは、プレートを「押す時」です。
ですので、プレートを押す時に息を「吐き」、戻す時に息を「吸い」ます。

 

 

 

アダクション

 

内ももの筋肉が縮むのは、足を「閉じる時」です。
ですので、足を閉じる時に息を「吐き」、開く時に息を「吸い」ます。

 

 

 

ラットプルダウン

 

背中の筋肉が縮むのは、バーを「引く時」です。
ですので、バーを引く時に息を「吐き」、上げる時に息を「吸い」ます。

 

※ただし、このラットプルダウンに関しては、逆の場合で行うこともあります。

 

 

 

ロータリートーソ

 

脇腹の筋肉が縮むのは、体を「捻る時」です。
ですので、体を捻る時に息を「吐き」、戻す時に息を「吸い」ます。

 

 

 

クランチ

 

お腹の筋肉が縮むのは、体を「起こす時」です。
ですので、体を起こす時に息を「吐き」、下ろす時に息を「吸い」ます。

 

 

 

筋トレ時の呼吸は場合によって使い分ける

 

「筋トレ中は力を発揮させるために、胸式呼吸をするべきだ!」という人もいれば、「いやいや、腹圧を高めるためにも腹式呼吸が良い!」という人もいます。

 

果たして、正解はどちらでしょうか?

 

結論から申し上げると、『どちらとも正解』です。
なぜなら、筋トレの目的は人それぞれで、トレーニング法は人によって異なるからです。

 

スポーツ選手がトレーニングを行う際には、部分的に胸式呼吸を使うこともあります。
しかし、そこまで激しい運動をしたことがない高齢の方の場合は、腹式呼吸を意識して行うことが多いです。

 

このように『人によって呼吸法が異なる』というのが適切な答えです。

 

はじめは腹式呼吸を意識したほうが良い

 

先ほど「人によって呼吸法が異なる」と言いましたが、誰でも腹式呼吸はできたほうが良いです。
というよりも、必ずできるようになるべきです。

 

腹筋を上手く使うためには、インナーマッスルである「腹横筋」を上手く使う必要があります。
しかし、普段から胸式呼吸ばかりしている方では、腹横筋を上手く使うことができないことが多いです。

腹筋(特に丹田)は、お腹の中心部分なので、ここを鍛えずしてボディメイクは難しいと言えるほど大切な部位です。

お腹をしっかりと引き締めるためにも、そしてある程度リラックスしてトレーニングを行うためにも、初めは腹式呼吸を意識しましょう。

 

こう言うと、「トレーニングでリラックスして大丈夫なの?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、体がガチガチに固まっているよりも、ある程度リラックス状態にあったほうが力は出やすいです。

 

筋トレ時の呼吸で絶対にやってはいけないこと

 

 

筋トレ時に呼吸を行う上で、絶対にやってはいけないことが以下の2つです。

①息を止めること
②口で息を吸うこと

それぞれが良くない理由について解説していきます。

 

①息を止めること

ウエイトリフティングの選手を見ると、目が充血するほどに息を止めていますよね。
ただし、これは超がつくほどの高重量を扱う時だけに使う方法なので、基本的にトレーニング中に息を止めるのはNGです。

ウエイトリフティングの選手のように、最もキツい一瞬だけ息を止める方法を「バルサルバ法」と言います。

息を止めた状態でトレーニングを続けると、血圧が上がり、心臓や血管に負担がかかって失神してしまう場合もあるので、充分に注意してください。

 

上級者の方は一番きつい所で呼吸をあえて止めて腹圧を高めて行うこともありますが、通常は呼吸を止めないことがオススメです。

 

②口で息を吸うこと

 

これは実際にやって頂くと分かりますが、口で息を吸うと鼻で吸った時と比べて呼吸が浅くなります。
また、口で息を吸うと肩周りに力が入ってしまうため、本来のトレーニングで鍛えたい部分とは違う部分が鍛えられてしまいます。

 

『鼻でできるだけ多くの空気を吸い、細く長く息を吐く』
これが、トレーニング中の基本的な呼吸の仕方です。

 

以上、この2つだけはトレーニング中にやらないようにしましょう。

 

まとめ:筋トレ時は呼吸を意識する

 

 

『筋トレの効果を最大限発揮させるためには呼吸を意識するべき理由』について、ご理解頂けましたか?

 

これまで呼吸を意識したことがなかった方は、ぜひ本記事を参考に、トレーニング効果を倍増させてください。

 

最後に、本記事をまとめておきます。

筋トレと呼吸の関係性まとめ

・筋トレ時に呼吸を意識することで、①安全度を上げることができる、②血圧の上昇を防げる、③トレーニングの効果を高められる、といったメリットがある
・呼吸には、主に「腹式呼吸」と「胸式呼吸」の2種類があり、まずは腹式呼吸を意識して行うのがオススメ
・筋トレ中の呼吸は、「筋肉を縮める時に吐き、伸ばす時に吸う」が基本
・また、鼻から息を吸い、鼻もしくは口で吐く

本記事があなたのトレーニング生活において、少しでもプラスになれば幸いです。
それでは、良い筋トレライフを!

 

くびれサーキットトレーナー 上原道矢

 

・参考文献
⑴https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2014.00756/full